表記、いわばテキストの「見た目」は、書き手の語感やテキスト入力のための環境などに依存することが多く、複数の書き手によってコンテンツが制作されるような現場では、サイト全体で統一感を保つことが難しいものです。Webサイトの制作、運用の案件であれば、サイト内の原稿の記述ルールや、表記上のガイドラインを作成し、共有することが必要ですが、この記事では、基本的なチェックポイントとして、Webサイト制作だけでなく、どんな場面でも応用可能な“表記上の統一感を保つための”6つのポイントをご紹介したいと思います。
日常的な文章作成の際にも参考にしていただければ幸いです。
ポイント1:句読点の打ち方に配慮する
句読点の打ち方にはいくつか原則があります。ここでは絶対に覚えておきたいポイントに絞ってご紹介します。句点(。)は文末に打つ
例:×組織つまり集団で目標を達成するには、各人がバラバラの行動をしていてはダメだ。と課長は言った。
○組織つまり集団で目標を達成するには、各人がバラバラの行動をしていてはダメだ、と課長は言った。
上の例は、文末でないところに句点が打たれています。
読点(、)は、以下のいずれかのポイントで打つ
- 意味の切れ目
- 長めの主語の後
- 理由や原因の説明の後
- 前提や状況説明の後
×あまり普及しない理由はコマンドラインの利用や、独自構文の習得などではないかと思う。
○あまり普及しない理由は、コマンドラインの利用や独自構文の習得などではないかと思う。
「理由(主語)」+「利用」「習得」(述語の並列)という構造なので、主語の直後に読点を打つ方がよりスマートです。
ポイント2:「」(カギカッコ)の使い方に配慮する
カギカッコも何となく使ってしまいがちですが、ちょっと気を使うだけでグッと文が引き締まります。「」(カギカッコ)を閉じる直前の句点は省略する
例:○「組織つまり集団で目標を達成するには、各人がバラバラの行動をしていてはダメだ」と課長は言った。
○「組織つまり集団で目標を達成するには、各人がバラバラの行動をしていてはダメだ」。これが課長の言葉だ。
句点を打つと、そこで一つの文が終わり、次の文が始まります。
カッコとカッコの間の読点は省略可能
例:○「発想力」「取材力」「構成力」「表現力」「論理的思考力」、これらが文章上達には必要だ。
カギカッコで閉じられた要素を並列する場合は、それぞれの要素の間の読点は省略可能です。
ポイント3:漢字の使い方に配慮する
漢字は、本来の意味から離れた言葉の場合はひらがなで書きましょう。例:
×花の美しさと言うものはない
この「言う」は「発言する」という意味ではないのでひらがなで書くのがよいです。以下も同様です。
例:
×一晩寝かせてみたらという事だった
×部長に相談した所
×良く父親に似ていると人から言われる
ポイント4:言葉のレベルに配慮する
以下の例はすべて同じ意味の表現です。漢字を使うかひらがなで書くか、文末は丁寧語にするか尊敬語にするか、文章の中で統一するように配慮しましょう。例:
・よろしくおねがいします。
・よろしくお願いします。
・宜しく御願いします。
・よろしくお願いいたします。
・よろしくお願い申し上げます。
・よろしくお願い申しあげます。
ポイント5:漢数字の使い方に配慮する
横書きの場合、数字の表記は算用数字が原則ですが、横書きでも漢数字を用いる場合があります。「熟語、慣用句」「日本の伝統文化に関する言葉」「数値を曖昧にした表現」「固有名詞」などです。例:
○「人一倍努力した」(「人一倍」は熟語)
○「十三代目片岡仁左衛門」(伝統文化に関する名詞)
○「数万人規模のデモ」(数値を曖昧にした表現)
○「五重塔」(固有名詞)
○「一朝一夕」(慣用句)
ポイント6:訓読みの漢字表記に配慮する
訓読みは紛らわしく、同じ訓読みでも異なる漢字を当てる言葉があります。どの漢字を当てるべきかは、意味に応じて使い分けましょう。例:
【みる】
見る、観る、看る、視る、診る、覧る
【つとめる】
務める、勤める、努める
【こたえる】
応える、答える
【つかう】
使う、遣う
ちなみに、間違いやすい言葉遣い、表記、表現などについては、『朝日新聞の用語の手引き』『共同通信記者ハンドブック』などに詳しく解説されていますので、いずれか一冊を持っておくとよいでしょう。
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